モノの値段
最近、JR各社のトワイライトエキスプレス的な列車が人気らしい。
いずれも、1泊で27万円とか、2泊3日で120万円といった高価格が
売りで、なんとチケットはすぐ完売してしまうほどの人気だそうだ。
このニュースを聞いた時の反応の違いが面白い。
「なんでそんな高いの!?バカみたい」という人もいるし、
「あ~、ヒマとおカネがあれば乗ってみたい」という人もいる。
前者は、コスパ(コストパフォーマンス)として価値判断をし、
後者は、コストよりも自分の出せる金額に照らして考えている。
我々製造業に携わる人間は、とにかくコスト主義になる場合が多い。
材料費と人件費と経費を足して、いわゆる原価を算定して、
それに一定の利益を乗せて売値を決める。
一見論理的で、理系的な方法に見えるが、
「高いね」と言われると、なぜコストが高いのかを延々説明することになる。
この場合、一定の利益は上がるがボロ儲けすることもない。
一方、売値を最初に決めてしまう商品もある。
購入者は、このくらいの金額なら出すだろうという売値ありきのモノ。
コストはいくらなどあまり考えない。
非常に金額の安い商品と、ブランド品などの高額商品に見られる。
100円のモノに誰もコストは気にしないが、実は原価10円だったり、
ほとんどタダだったりするので、利益額はそれほどでもなくても、
利益率は非常に高かったりする。
ブランド品の価格はすさまじい(笑)
バッグ1つ、50万円とか100万円はザラである。
おそらく製造コストはせいぜい数万円だろうが、まったく関係ない。
売値は最初から決まっているか、
出来たモノをみて上手に値付けする人がいるのだ。
この辺を買う人々は、審美眼がおそろしく鋭く、
製造業的に言えばほんのわずかの差に、何十万円以上の価値を見出す。
正直これは、こういうビジネスモデルを考えた欧州人がエライ。
・・・
実は、この2つの売値決定方式に加え、実はもう一つあるのだ。
日本の製造業に厳然とある「指値(さしね)」である。
大手企業にモノを買ってもらう際によく見られるが、
「この品物だと、材料はせいぜいこのくらいで、加工はこのくらいがせいぜい。
会社の規模から言って一般管理費はこのくらいだから、この値段でいいだろ」
何もかも丸裸で、夢も希望もないではないか(泣)
いいかげん、もっと高い売値をつけてもらえる商品を、
必死に考えるべき時代なのだ。それが出来た時に初めて、
例のプレミアムフライデーも現実のものとなる。