全量買取:その後

10/27の日経新聞記事からの引用です。

「直嶋正行経済産業相は27日の閣議後の記者会見で、太陽光や風力などを含むすべての再生可能
 エネルギーによる電力全量を電力会社が買い取る制度導入に向けたプロジェクトチームを設置
 すると発表した。
 11月から自家消費分以外の太陽光を買い取る制度が始まるが、同制度には2年後に見直す
 規定があるため「できるだけ早く実施したい」と述べた。

 プロジェクトチームのメンバーは直嶋経産相ら政務三役のほか、柏木孝夫東京工業大教授や
 山地憲治東大教授ら有識者5人で構成。
 11月上旬にも初会合を開き、産業界からの聞き取り調査などを通じて来年3月をメドに
 制度案をまとめる。

 (1)買い取り対象のエネルギー(2)価格と期間(3)国民負担(4)電力系統安定対策などが議題になる。
 民主党は衆院選マニフェスト(政権公約)に同制度を盛り込んでいる。」

・・・・

新政権、マニフェストは忘れませんね。

これは、選挙前に当時の政府(笑)が、駆け込みで11月からの「余剰電力」に限定した新買取
制度を発表して、民主党政権の全量買取り構想が出る前にスタートさせようというミエミエの
作戦があって、このドサクサに紛れて全量買い取りはなかった事になるのかと思いきや、
流されません、驚きました。

このブログの「フィードイン・タリフ」のコーナーでも何回か取り上げておりますが、11月
からスタートする制度は、あくまで「余剰電力」に限られています。

一般的には、3KWの太陽光発電が発電する電力量は一ヶ月で約250kwhほどで、そのうち
150kwhくらいは自家使用していて、余剰電量としては、おそらく100kwhほどでしょう
か。(もちろんそれぞれの家の生活パターンによりますが)

つまり、余剰電力は全発電量のせいぜい40%程度です。
これを今までの約2倍で買い取り、その財源は一般家庭の電気代に上乗せして捻出する、という
新買取制度ですが、今の余剰電力のみの場合で、制度がスタートする年度でプラス30円程度、
5~10年後には100円程度の負担になると言われていました。

これを、全量買い取りにすると期間や買取単価が先の発表に準ずるとなれば、一般家庭の負担分
は単純に、2.5倍ほど(75円とか250円ほど)になるという事です。

これをやるとなると、太陽光などが発電した全量を測るメータが必要になるので、やっかいと
言えばやっかいです。私の家で言えば、インバータと分電盤は洗面所にあり、そこから検針
メータまで配線を回してメータをつけるので、そう簡単ではありませんね。
費用的にも数万円以上はするでしょう。

でもまあ、その工事費は恩恵を受ける設置者が負担すればよい、といえば確かにそれでもよい
ので気にする必要はないのかもしれませんので、それを誰が負担するかは置いておくとしても
次の注目点があると思います。

 

 1.「全量」を計測するメータを取り付けても、あくまで「全量買取」を貫くのか。

 2.「全量買取」で増加する財源を、すべて一般家庭からの料金に転嫁するのか。

 3.「全量買取」にはしても、買い取り単価を下げるか、期間の見直しなどをして、
    財源の妥協点を見出すのか。

 4.「全量」にこだわらずに、現在の「余剰メータ」から「全量」を推定して
   買い取り単価を変えて、「推定全量買取」みたいな話にするのか。

 

確かに、「全量買取り」という考え方は、考え方として素晴らしいと思います。
なんたって、太陽光などの再生可能エネルギーで作った電気には社会貢献としての意味もある
わけなので、買取単価はともかくとしても、とにかく「全量」を区別して扱う、というのは
理解できます。今は日本中で再生可能エネルギーが一体どれだけ発電しているのかも、実は
正確にはわからないのですからね(!わからないのですよ)。

一般家庭の負担分をあまりに増やすべきでないという観点から、買い取り単価を少々下げる
ということがあったとしても、全量買取という考え方は守る、ということなら、個人的には
納得します。

しかしそれがもし、4.みたいな話になると、何をやってるんだかよくわからなくなってしまう
ので、これは新政権の性格を推し測る絶好のテーマだ、と私は思います。

・・・

何だかマジメ一本のネタで、たまに真面目なことを考えるとアタマが疲れますわ(苦笑)

 

Leave a Reply