号外・松井秀MVP
今日の私は、松井秀の大活躍を語らないわけにはいかない。
この際、全量でも余剰もどうでもいい、オレもニューヨークで紙吹雪投げたい。
あ~感動した。これぞスポーツの醍醐味だ。天才的な運動神経という意味では、
そりゃイチローには敵わないんだけれど、そこを見えない努力でがんばるところが、
実社会のオヤジたちにはたまらない。
が、松井秀の活躍は今さら私がクドクドいう必要もないので今日は違った視点で。
それは、2戦、6戦と先発して松井秀にことごとく打たれたフィリーズの投手、
ペドロ・マルティネスのこと。帽子の下からチリチリの髪が膨らんで、何だか
遠目はかわいいあの男。
このペドロ・マルティネスという男、フィリーズの前にはレッドソックスや
メッツに在籍して大リーグを代表するサイヤング賞に3回も輝く大投手だ。
松井秀がヤンキースに行ってから、何度も対戦していいようにやられてきた、
言わば一番の天敵。
私も松井秀につられて大リーグの試合を見るようになった頃、ペドロを見て
やっぱり大リーグのピッチャーはスゴイと思った。あんなの誰も打てないだろう
と見ているだけでそう思った。
この男のヒールぶりは見事なもので、2003年のヤンキースとのリーグ優勝
決定戦で乱闘騒ぎになった時も、こともあろうに当時71才のヤンキースの名物
コーチ、ドン・ジマーを首投げしてニューヨーク中の大ヒンシュクを買うわ、
2004年には、同じくリーグ優勝決定戦で松井秀にビーンボールを投げるわ、
それでもいつも平然として知らん顔していた男なのだ。
マウンドでも、いつも顔色一つ変えずに速球に変化球にビーンボールに(笑)を
投げ分け、完全に打者を見下した態度でそれはもうカッコ良かった。
あそこまで悪役に徹しきれると、憎たらしいのは通り越して実にカッコイイ。
そしてヤンキースに打たれたある日に、「これからヤンキースを、ご主人様
(Daddy)と呼ぶよ」と不敵に発言して、それ以来ヤンキースタジアムでは、
Who’s Your Daddy? (オマエのご主人さまは誰だって?)とヤジられるよう
になったまさに存在感のかたまり、伝説の男、顔だけで勝ち星を取れる男だ。
その不敵なペドロ・マルティネスが、WSでの松井秀にはメッタ打ちされた。
2戦目、内角低めに落ちるチェンジアップだかカーブを完璧にライトスタンド
に運ばれ、あの6戦目の第一打席では、速球、変化球を尽くいい当たりのファウル
をされ、いよいよ投げる球がなくなった運命の8球目を、ものの見事にライト
スタンド2階席のKOMATSUの看板のところまで運ばれた。
私はその時のペドロ・マルティネスの顔が忘れられない。
あの常に顔色一つ変えずにマウンドで不敵な表情を浮かべていた男が、
「ああ、松井にはもう投げる球がない」みたいなうつろな表情をした。
そのあとの打席はもう完全に松井秀に飲まれて、センター前タイムリーも
「もうアイツには投げたくない」とうつむいた顔に書いてあった。
もちろん、ペドロも38才になり球威も衰えたということもあるだろう。
しかし、松井秀は海を渡ってから7年経って、手も足も出なかった大投手を
完全に打ち砕いたのだ。最初から出来たわけじゃない、怪我も克服して地道な
努力をしてついにペドロ=大リーグに打ち勝ったのだ。あ~たまらん(泣)
戦い終わって間もなく、今度はヤンキースとの来期契約の話題で世の中は煩いが、
別にヤンキースじゃなくたっていいじゃないか。
どこへ行っても活躍できることを松井秀は十分証明した。
今度は契約しないヤンキースがバカだった、と思い知らせてやればいい。
それはそれでまた最高にビールがうまいのは間違いない(またビールか)