技術の進歩とは?

先日あるゴルフコンペに参加した時のことです。
最近のゴルフクラブの進歩について質問されました。

「チタンって、飛ぶんでしょ? やっぱり高い材料だから飛ぶんだよね」

う〜ん、ちょっと違うなぁ、と思いながらその場で説明すると夕方になっちゃうなぁ、
と、ここで独演会をやるのは避けたんですが、
これは技術を語る上では、いい題材ですのでお話しときます。

チタンと言うのは、鉄と同じような機械的強度を持っていながら、アルミ並の
重さ(比重)です。その上、とても錆びにくい。

ゴルフクラブ等を作るときは、軽い材料で作りたいのですが
アルミでは鉄より柔らかいので、強度を持たすために肉厚にしなくてはなりません。
そうすると、結局重さは変わらないなんてこともあったりしたわけです。

ところがこのチタンは、とにかく軽くて鉄並みの強度があるので、
今までステンレスで作っていたクラブヘッドと同じものなら、はるかに軽く作れる
ようになったわけです。

でも、ゴルフクラブはそんなにも軽くする必要はないので、その余裕が出た重量を
いろいろに使えるようになります。

まずヘッドを少し大きくしましょう。ヘッドが大きいと言うことは、スイートスポットは
大きくなり、少しくらい芯を外してもへっちゃらで飛びます。
今はあのタイガー・ウッズでさえ、アンパンのような大きなヘッドです。

大きくしてもまだ軽いので、重心位置を調整するの為に、好きなところに重りを
付けられます。
今のクラブは、底の奥の方にたいそうな重りがついています。

そのおかげで、チタンヘッドのクラブは低重心で、更に深い重心位置になり、
ボールは簡単に上がり、直進性も良くなっています。

重量に圧倒的な余裕があるから、これだけ好きなことをやれるわけで、
結果、チタンは良いわけです。

どうでしょう?

結果的には「チタンは飛んで曲がらない」ということなのですが、
実はそれは結果の話であって、チタンが弾くわけじゃないのであります。

・・・・・

技術と言うのは得てしてこういうものです。

そして技術屋は得てしてこういう事を、必死で説明したがるのですが(笑)
世間の人にはあまり重要なことではないらしく、
もっと重要なことを聞かれるのです。


で、スコアはどうだったの?

・・・・・(無言)





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