東電の一番長い日
はたして電力は足りるのか・・
東京電力の関係者には、21日は相当緊張の1日だったはずだ。
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asahi.comによれば、
「21日、東京電力管内は電力ひっ迫の恐れがあるので、急遽塩原揚水発電所を
稼働させることを決定・・」とあった。
これは一大事だと私は思ったが、燃えた飛行機の話題でかき消された感ありで、
それほど大きな扱いでもない。
これは、新潟の地震で柏崎原発が停止していて電力の供給能力が下がっている事
に加えて、この異常な猛暑でエアコン電力需要が大きいことが拍車をかけている。
「東電の21日の供給力は6222万キロワット。
これに対し、最大電力(=電力需要)予想は、東京地方の最高気温が、
35度になった場合6000万キロワット、
36度なら6170万キロワットと電力供給は綱渡り。
37度なら6340万キロワットになると想定。東電の供給能力を超えてしまう。 」
統計的に、気温が一度上がると電力消費は170万キロワット上がる、
というデータを基に、もしかすると足りないかもしれない・・との判断の結果、
20日には、能力90万キロワットの塩原揚水発電所の稼働準備を開始した。
これは前夜の深夜電力で水を発電所の上までくみ上げておき、
電力需要が危ない時に、一気に水を下に放出して発電するという、
何ともワザありの対応策だ。
私は、前々回に気楽に長期予報は当たらない、などと言ったが、
気象庁の温度予報は、こういった国を揺さぶるような事態への対応の元になって
いるわけで・・これは大変な責任だと言える。
前日、汲み上げた水を一気に放出した場合の塩原の発電能力は90万キロワット、
これで能力的には、6312万キロワットになる。
しかしこれでも37度になってしまえばアウトだ。
「そして東京電力は21日午前、電力不足となった場合に電気を止めてもらう
「随時調整契約」を結んでいる顧客に対し、同日午後の電気の使用停止を求める
かどうかの検討に入った。夕刻まで需要動向を追い、判断を下す。 」
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今は夕方の6時。
ようやく陽は傾き、暑さも峠を越えた。
この時点で、上記の随時調整契約の顧客に使用停止の通知をしたのか、は
定かでない。
しかしこの猛暑の中、柏崎原発を失った関東地方の電力自事情は、
まさに首の皮一枚、の状態に追い込まれているわけだ。
もし、電力需要が供給量を少しでも越えれば、首都圏は未曾有の大停電という
事態に陥る。何事もなかったように過ぎて行ったこの日、関係者には
”いちばん長い日”であったはずだ。
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普段、何気なく使っている電気ですが、裏では刻一刻の電力需要の画面を
見ながら、相当緊張の対応が行われています。
いつもCO2問題を中心に話を展開していますが、
この電力需要の話も実は大きな問題なのです。
原発が一基停止した状態で、猛暑が重なれば毎年こういう状況が発生する
わけで、
エアコン需要のカーブと出力カーブがピタリ一致する太陽光発電は、
夏のピーク電力対策にもとても有効だということです。
(今日はプロジェクトX風でいってみました)